ウッド&キャンバス
- hikari4876
- 2023年1月14日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年1月19日

…って、オールドカヌーの素材です。
「木」と「キャンバス地」で作ったカナディアンカヌーとエスキモーカヤックです。
実は、昔カヌーにはまっていたのにプラスして、カットの設計技術の応用で「オールドカヌーを再現できるのではないか?」という発想から制作してみました。
そもそもカット技術習得に際し、独自で建築デザインもかなり参考にしていたため、その2つの要素から「できるのでは?」と思った次第です。
でも一般的なカット技術の習得には「マニュアル」があり、それをコピーするのが99%以上かと思います。
しかし、それは40年以上まえの設計であり、そもそもが2D(二次元)的なかなり大雑把な設計図でしかありません。
これでは誤差が大きすぎ、私の望むものではなかったために、何度も設計図を解体しては作成し直していた際に、よく建築分野の「木の活かし方」を参考にしていました。
「木を曲げる際は2D的にしか曲がらない」…そもそも木の板って2D形状なものですし…
それを生かして3D形状なものを作る…というのは球面(3D)である頭部から伸びている髪の毛のシルエットを、また3Dに作成(補正)する…ということに通じるものでした。
で、上の写真の奥側の赤いオープンデッキのカヌーがアウトドア雑誌に載っていたのを一目ぼれし、制作を思い立った…という訳です。
「3D形状を2Dの形状の特性を持った素材で作る」というのは非常に設計力が必要で、写真を解析しつつ作成し、実は上のカヌーを作るまでに試作品を2個作っています。
それでようやく満足のいく「完成品」である上記カヌーができました。
このカヌーの形状は滑らかなラウンドボトムなので、静水域(フラットウォーター)で初心者が乗るには不安定かつまっすぐ進まないのですが、特殊な操作法(パドル技術)を用いればまっすぐ進み、流れや波がある水域に適しているため、阿賀野川の川下りや、奥只見湖の波(風)でも安定して乗ることができました。
「昔の人間はよくもこういったものを設計したな…」と感心しましたね。
で、カヌーってそんなには乗れないので、今はうちの「コート掛け」として活躍中です。

次に制作したのが細いクローズドデッキのエスキモーカヤックです。
これはもともとはエスキモー、イヌイットがアザラシを狩る船として設計されていました。
全長5.4mに対し、全幅は55㎝しかありません。

普通に考えると、かなり幅が狭いために「非常に不安定な乗り物」と思えるかもしれませんが、実はかなり安定した乗り物で、(パドル)スイープさえできればほとんど沈(転倒、沈没)することはありませんでした。
船体の前後の長さのベクトルで考えると「ハンモック」「ゆりかご」のような構造をしているために、案外安定しています。
重心(人間の位置)より両端上に浮力体が来ることで人間を吊り下げている構造です。
異様に長いのと前後先端が緩やかに反りあがっているのはそのためですね。
また、左右(横断面)のベクトルで考えると五角形のボトムはキール部からエッジのきいたV字が徐々に広がるデザインのために前に進むことによって、両端に浮力(持ち上がる力)を得られます。
サイド部も斜めに広がっているので、進む水の抵抗を受けると上方向に浮力を生じます。
両端に浮力が得られるために両端を抑えるような安定性が生まれます。
しかも、全幅が狭い=水の抵抗が少ないので、かなりスピードが出ます。
ゆえに、細かろうがストロークミスでバランスを崩そうが、船体自体にそもそも復元力があり、最悪即座にスイープさえすれば、勝手に強い浮力(復帰力)が得られるので、この2つのベクトルでの安定感補正のため、かなり意を決して「沈するぞ」としないと沈しないほどでした。
進んでいる限りは安定させる力が働いている…
これも「昔の人はよく考えたものだ…」と感心しましたね。
そしてその意外なほどの安定感から、阿賀野川下流域を下りましたが、思った通り一回も沈しませんでした。
流れがある状態でも自作の超ロングパドルで旋回力も安定力もかなり得られ、快適に下ってこれました。
カナディアンカヌーに比べ、かなりクイックな乗り物です。
このカヤックはついでに「フォールディング(折り畳み)」に設計したので、持ち運びが楽でしたが、海水がキャンバスに…でカビてカビ取り…を繰り返してたらダメになってしまいました。
フレームは最近まで小屋の中に入れていたのですが、さすがに「もう乗らないかな?」ということで先日燃えるゴミに出してしまいました。
現在はインフレータブルカヌー(ゴムカヌー)しかもっていません。
乗る暇もそんなにないですし…
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